深空-あたしは生きている-
小さいとき、あたしは父親から虐待を受けていた。
あたし以外の家族には一切手を出さず、あたしばかり蹴られては殴られる日々を送っていた。
幼いながら記憶のある、遠い昔の話。
もしかしたら全部夢だったかもしれないし、何をされたのか具体的なことは、きっと父親にしか分からない。
『パパ! やめて…!!』
だけどきっと、あたしの記憶は正しいんだ。
二の腕にはくっきりと、タバコを押し付けられた痕がある。
「お腹すいたってばー」
ねぇ、あんたたちは守られて生きてきたんだよ?
弟も妹も嫌い。
あたしを盾にして笑ってきたこの家族を、あたしは一生憎むだろう。