深空-あたしは生きている-
―ドンッ
「ごちそーさま♪」
半ば突き飛ばされる形で車をおりたあたしは、しばらくの間呆然としていた。
靴はどこかで脱がされたらしく、裸足だった。
下着も盗られていた。
下腹部の激痛。
はだけたシャツ。
何故か手に握らされた何枚かの壱万円札。
押さえつけられたときに出来た、腕の痣。
そして彼らのにおい―…。
助けてと叫べばいい?
あたしはどこに逃げればいいの?
誰か助けて。
でも、誰もあたしを見ないで。
恐怖だけが、そのときのすべてだった。