深空-あたしは生きている-
家に閉じ籠り続けていたら、世間は夏休みを迎えていた。
それまであたしは…何を食べていたのか、どんな服を着ていたのか、家族とは何を話したのか…
思い出せないことばかりだった。
不登校になったあたしを、母親は冷たい目でみていた。
「甘えるのもいい加減にしろ」
信じられない暴言を吐き、あたしは家族から隔離された。
弟は気味が悪そうな目で見つめ、
「…甘えん坊」
と呟いた。
妹はただ、あたしに近寄らなくなった。