深空-あたしは生きている-


家にいると家族からの視線が痛かったから、あたしは外出するようになった。



学校にいくわけじゃない。


街をブラブラ歩くだけ。



もちろん、中学生なんかに声をかける人なんかいなくて、結局歩き疲れてベンチで休む…その繰り返し。




近くのコロッケ屋さんでコロッケを買い、それを頬張ってご飯は終わり。



夏の間じゅう、1日ひとつ、コロッケだけの生活が続いた。




「おじょうさん、いつもありがとう。お名前は?」



そう聞かれても、あたしには答える術がない。




いつも無視して走り去った。



心が壊れていくのを、あたしは黙ってみていたんだ。





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