深空-あたしは生きている-
沙耶は何度も家を訪ねてくれた。


部活のみんなも。


あたしを見て、何も言わずに抱き締めて、あるいは涙を流して帰っていく。


大丈夫、あたしたちがついてると…


まるで全て知っているかのような顔をして。


失語症という病気があることを、私はしばらくたってから知ったんだっけ。



心が麻痺してるんだって。


…これ以上傷つかないために。



あたしの心はあたしを傷つけるのに、


体は心を守ろうとしてくれた。


ねぇ、生きていたい?


何度問いかけただろう。



答えが返ってくるわけでもないのに。



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