君へ
~屋上~ *蓮*
「嘘………」
嘉穂の話しが信じられなかった。その話しが本当ならまるで……
「空が好きなのは蓮だよ。」
頭の中で必死に消そうとした答えを言われてしまった。
「蓮も空のこと好きなんでしょ?」
「っ! なんでうちが空のこと好きだって思うの?…」
「誰でもそう思うよ!アド聞いたり、空のことかばったりしてたから。」
気づかれてたんだ。うちが空のこと好きだって…
「でも、空と付き合ったりしたら許さない。」
さっきまで泣いていた嘉穂が、低く鋭い声で言った。驚いて何も返せなかった。
「ハハハ、当たり前のことじゃない!人を不幸にして自分だけ幸せになろうなんて許す訳ないじゃん!」
怖かった。心のそこから松井 嘉穂という人物を恐いと思った。
「それにしても傑作だったわ。空を脅して無理やりアド交換させたぁ~!?よくそんな嘘思い付いたね。もう笑いこらえるのに必死だったのよ」
「かわいそう…」
「あ?誰がかわいそうだって!?調子乗ってんじゃねーよ!」
「そうやってうちに怒鳴って、自分が振られたことをうちのせいにしてるだけじゃん。」
「…。もし、空と付き合ったら絶対に壊してやる。お前が私にしたように。」
嘉穂が屋上を出てからどれくらいたっただろう。
もう、一時間目終わるころかな。
「言われなくても、付き合える訳ないじゃん…」
ひとり呟いて屋上をあとにした。
この時からうちは自分の空が好きという気持ちを消すことにしたんだ。