親友を好きな彼
運命の出会い
「はぁ~。またか」
今日という日もあと一時間で終わる頃、ようやく帰宅出来た私の手元に届いていた一通のハガキ。
それを見て、溜まりあげていた疲れは一気に溢れ出した。
三階までしかないこのマンションは、もちろん階段しかなく、その三階に部屋がある私は、どんなに疲れていたって、冷たく固いコンクリートを上らなければならない。
「デザイナーズマンションだからって、早まったかも…」
地元の四大を出て就職をしたのを機に、会社から程近い街中のマンションに、一人暮らしを始めたのだった。
どうせ住むなら、オシャレなマンションを…。
そう思って選んだ新築のデザイナーズマンションは、都会的でシンプルで一目で気に入ったのだった。
だけど実際は、日常の生活を送るには不便な部分が多く、まず最初に後悔したのはこの階段だ。
段差が高く、むくみきった足で上るには辛い。
「痛っ!」
ヒールが段に引っ掛かり、思い切り前に倒れた私は、情けなくもスネを打ってしまった。
「もう~。最悪」
踊り場に、散らばった郵便物の中から、“あの”ハガキだけが目立つ。
今月だけで三通目。
『結婚をする事になりました!』
音沙汰のなかった“友人”たちからの、幸せの報告。
このせいよ。
この余計なハガキのせいで、私の疲労は爆発したんだから…。
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