親友を好きな彼
結局、あれから三日間仕事を休み、聡士の家でお世話になったのだった。
微熱が続き、聡士から出社は控える様に言われたから。
体自体はそんなに辛くなかったけれど、ちょうど週末で休みになるからと、いっそ全て休もうという事になったのだった。
休んでいる間、聡士は仕事から帰ると、私のご飯を作ってくれた。
家事はすると言ったけれど、とにかく風邪を治す様に言われて、何もしなかったのだ。
まさか、聡士がここまでやってくれるとは思わず、この三日間で彼への見方はだいぶ変わった気がする。
「う~ん!いいお天気!」
陽射しがたっぷり差し込む窓を開け、思い切り伸びをした。
「由衣~、もうちょっと寝かせてくれよ」
ベッドでは聡士が、眠そうな声を出しながら布団を被った。
「あ、ごめんね。ようやく体も良くなったから嬉しくて」
じっと寝ているだけというのは性格に合わないと、改めて実感した三日間でもあったのだ。
「ん~。それなら良かったよ」
聡士はまだ眠いのか、それでも布団から出ると大きなあくびを一つして、ベッドから降りた。
「完全に起こしちゃった?仕事で疲れてたんでしょ?ごめんね」
やっとの休日なのだから、もう少しゆっくりしていたかったに違いない。
だけど聡士は顔を洗い終えると、すっかり目を覚まして言ったのだった。
「由衣の方こそ、いろんな疲れが出たんだよ。お互い、ゆっくりしようぜ」
「うん。あっ、そうだ。お世話になったお礼に、何か食べる物を作るから」
といっても、レパートリーの少ない私。
作れる食べ物なんてしれている。
「いいって。ゆっくりしろよ。それよりさ、いい加減ハッキリしよう。俺たちの事」
「俺たちの事って…」
さっそく本題に入るというの?
もちろん、覚悟は決めていたけれど、改めて言われると緊張する。
ベッドに腰掛けた私の隣に聡士も座り、そして言ったのだった。
「由衣、実は大翔たちから聞いてるんだ。すべてを…」
「えっ!?すべてって?」
「琉二や一香とも話をしたんだろ?俺や一香の事、それから今の会社に来たこと。大翔の事…」
そんなぁ。
みんな内緒にしてくれると言ったのに。
すると、そんな心情を察した様に聡士は弁解をした。
「みんなを責めるなよ。由衣が倒れた日、大翔がみんなに連絡したみたいでさ」
「大翔が?何で?」
「由衣がこうなるまで追い詰められているって、大翔はかなり心配していた。お前、本当に不器用だもんな。俺に、ちゃんと状況を理解させてから、お前と話し合いをさせようとしたんだ」
みんながそこまで…。
「だから、もう何も隠さない。だから、由衣も誤魔化さなくていいから。本当の気持ちを教えて欲しいんだ」