親友を好きな彼


「良かった。聡士が元気なら、それでいい」

「俺も、由衣が元気そうで安心したよ」

「電話、ありがとうね。忙しいんじゃないの?」

こうやって、時間を作って電話をしてくれただけでも嬉しい。

「だいぶ慣れたからな。由衣の声をいい加減聞きたくて」

「それは私もだよ。聡士の声を聞くと安心する」

こんな風にやり取りをするのが、心地良くてたまらない。

「由衣」

「何?」

「離れていて忘れちゃいけないから、言っておく」

「え?」

忘れるって?

何だろ?

すると聡士は、いつになく真剣な声で言ったのだった。

「由衣、誓うよ。これからも変わらない想いを」

「聡士…。わ、私もだよ」

どうしたんだろ急に。

改まれると、かなり緊張してしまう。

「俺さ、由衣といると自分が自然でいられるんだ。正直、一香以外の女に、そんな風に感じたのは初めてで」

「うん…」

「由衣は一香より、ずっといろんな事に健気だった。そんなお前の側に、ずっと居たいと思う様になっていたんだ」

聡士がそんな風に思ってくれていたなんて、会いたい気持ちが募るじゃない。

「私は、言葉では言い辛いけれど、理屈抜きで聡士に惹かれていたの」

きっと、初めて会ったあの日から…。

「ありがとう由衣。これだけは、忘れないでいて欲しいんだ」

「何を?」

「愛してるって事を」

「聡士…」

忘れないよ。忘れるわけないじゃない。

「忘れないから。絶対に…。だから聡士も覚えていて…」

私は、私は…。

「聡士と長い長い未来を、一緒に過ごしていきたい。あなたが、大好きだから」

忘れないから、覚えていて。

今日まで、どんな過去があろうと、私たちはお互い惹かれ合ったのだから。

全てを受け入れられた時、その気持ちは永遠へと変わる。

いつの日か、一緒に居られるその日まで…。

「忘れないから。覚えておく」

私たちの永遠の想いを…。


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