桜色の雪-君との時間-
「おめでとう」
無理やり張り付けた笑顔は、ちゃんと君を騙せているのだろうか。
「ありがとう」
……あぁ、大丈夫みたいだ。
君はちゃんと笑えてる。
私の笑顔に応えるように、はにかんで。
「全部、瑞希さんのおかげです。まさか、本当に受かるなんて」
「何言ってるの、鷹雪くんが頑張ったからでしょ」
鷹雪くんは、私が1年間家庭教師として受け持った、生徒。
……兼、イトコ。
県内でトップの高校に通っていた彼は、今日、無事に第一志望だった、県外の大学に合格した。