わたしの前から突然、消えたモノ…
今日も同じ場所にあの男がいた。

んー、やっぱり目に入る。
気になってしまうんだよね。

よーし、今度は大声で、

おいっ、そこでなにしてるっ、きみ!!

男の動きが止まった。
さすがにびびったかな。

周りの視線までなんか感じるんだけど。

男がわたしを見た。

無精ひげで、髪もぐしゃぐしゃ。
まるでホームレスのような格好。

ねえ、何を探してるの?

少し間を空けて男がしゃべる。

大切なもの…

昨日からずっと探してるよね?

うん。

夜はどうしたの?

近くの公園で少しだけ仮眠を取った。

んー、これは困った。
ボランティア精神はちっともないけど…

この男だと普通の会話できるんだよな。

ま、ぜんぜんタイプじゃないんだけど。

ねえ、わたしを見てどう思う?

若い、よね…? 高校生かな?

やっぱりこの男には顔が見えるんだ。

じゃ、あの人は?

と近くを歩く女性を指差す。

あの、おばさん?

あらあら…

服装は若いのに おばちゃんだったんだ。 ま、最近は多いけど。

って、そうじゃなくって…
この男には普通に見えてるみたい。

ますます気になってきたよ、

あなたのことが。
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