わたしの前から突然、消えたモノ…
ねえ、ずっと探して疲れたでしょ?
うちでちょっと休んだら、どう。

男は戸惑っている。

でも…早く探さないと。

そんなに大切なものなの?

うん。

何を探してるの?

それは……言えない。

こうなったら強行突破だ。

でも、もう暗くなって見えにくいし。
それに暗いなかをひとり帰るの怖いし。

さっ、一緒にきなさいっ。

半ば無理やり、手を引っ張っていく。

これって逆ナン???
だったら、人生初体験。


わたしは男を家に連れ帰った。

はい、ここがわたしの家。

男は驚いた顔でしゃべる。

家って…ご家族は?

あ、ぜんぜん大丈夫!
誰もいないから遠慮なく入っていいよ。

男は、こそこそと入っていく。

ねえ、その格好じゃダメだから…
とりあえず、お風呂に入ってきて。

服はパパのやつ用意してあげるからね。

男は首を少し傾けて風呂場に行く。

あ、そのひげもそって、
髪もちゃんと洗ってきてよねー。

風呂場の外から声をかけたが…

返事はなかった。
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