わたしの前から突然、消えたモノ…
え?

それだけ?

わたしも負けられない。
さらに言い返す。

こんな可愛い子を前にして…
しかも、男女が二人きりだよ。

ふつーはもっとニコって笑ったり、
何か質問して話しようと頑張ったり、

あと、そんな冷静じゃなく、
男ならもっとドキドキするもんでしょ?

普通は、そうなのかな…
でも、ぼくには大事な彼女がいるから。

そういって写真を差しだす。

んー、せいぜい中の下レベル。
歩いてても、その人ごみに紛れて
誰も振り向かない普通の女じゃん。

わたしは、正直に言ってやった。

その女性よりわたしのほうが
ずっときれいで可愛いと思わないの?
あんたは年下に興味ないタイプ?

男は首を振り、言った。

そうじゃないけど…

ただ、いまのきみには心が
見えてこないから何も伝わらない。

よくできたマネキンみたい。

助けてくれた相手に、こんなこと言って 失礼かもしれないけど…

心がズキズキ、うずいた。

正直、図星だ。

これだけストレートに…
男に言われたことって記憶にない。

女子には陰口で言われてるのが
耳に入ってきたこと何度かあったけど。

あの女は男のためなら何でもする
心ない非情なやつってさ。

完全にわたしのことを見抜かれている。

わたしの負け。

完敗だ。

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