わたしの前から突然、消えたモノ…
わたしは混乱していた。

なんで逃げたの?
カレの顔はあるのよ?

見えないのは、わたしのせい。

でも、あのときなんだか、カレから
優しさじゃない、やらしいオーラが
出てた感じがしたんだよね。

魅力的って言葉。

それはわたしの顔じゃなくて
中身でもなくて…

身体だったのかよ?

ま、中身はもともと自慢できないけど。

でも、顔見えないのにキスしてもね…

あ、でも、キスのときって
目を閉じるし結局、一緒じゃん。

なんて考えながら帰っていると…

ひとりの男が目に入った。

見た目はぜんぜん、中の下くらい。
普段は気づきもしないはず。

男は何かを探してる。

周りの人間は無関心に通り過ぎていく。 いつもは、わたしもそのひとり、
のはずなのに。

何かを必死に探してる姿が気になった?

そんなわけない。
わたし、ボランティア精神ゼロだし。

わたしがその男に気づいたわけ…

その男には顔があったの。
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