203号室の眠り姫
「……あれ?」
気がつくと、すみれは自宅の白いソファーに横たわっていた。
手には、開かれたままの本。どうやらこれを読んでいるとき、そのまま寝てしまったらしい。
家のなかはひっそりとしていて、エアコンの、暖房の音だけが響いている。
すみれは横になったまま、ついさっき見たものについて考えた。
「なんだったんだろう……あれ」
夢だろうか。
夢にしてはリアルすぎる。
現実の出来事?
でも、わたしは確かにここにいる。
じゃあ……
これ以上考えたら、頭のなかがこんがらがってしまいそうだ。すみれはソファーから起き上がった。そしてふと、窓を見て、思わず歓声をあげた。
「わっ、雪ふってる!」
隅に古い物置のあるこじんまりとした庭一面に、砂糖のような純白の雪化粧。あまり積っていないことから、まだ降りはじめたばかりだろう。
ここ東京では雪はめったにふらない。
だから、子供たちにとっては一大事であった。
すみれは大急ぎでドタバタと階段を登り、二階にある弟の部屋にかけこんだ。ヒカルはごろりとベッドに寝ころび、ゲーム機で遊んでいた。すみれは満面の笑みで告げる。
「ヒカル!雪だよ!」
気がつくと、すみれは自宅の白いソファーに横たわっていた。
手には、開かれたままの本。どうやらこれを読んでいるとき、そのまま寝てしまったらしい。
家のなかはひっそりとしていて、エアコンの、暖房の音だけが響いている。
すみれは横になったまま、ついさっき見たものについて考えた。
「なんだったんだろう……あれ」
夢だろうか。
夢にしてはリアルすぎる。
現実の出来事?
でも、わたしは確かにここにいる。
じゃあ……
これ以上考えたら、頭のなかがこんがらがってしまいそうだ。すみれはソファーから起き上がった。そしてふと、窓を見て、思わず歓声をあげた。
「わっ、雪ふってる!」
隅に古い物置のあるこじんまりとした庭一面に、砂糖のような純白の雪化粧。あまり積っていないことから、まだ降りはじめたばかりだろう。
ここ東京では雪はめったにふらない。
だから、子供たちにとっては一大事であった。
すみれは大急ぎでドタバタと階段を登り、二階にある弟の部屋にかけこんだ。ヒカルはごろりとベッドに寝ころび、ゲーム機で遊んでいた。すみれは満面の笑みで告げる。
「ヒカル!雪だよ!」