社長の吐息プラチナの甘美な囁き
「・・・」


尚貴の方から緩急に唇を離していく。

顔の表情は物足りなげ。

私の目撃したあのわが社の受付嬢・名取さんとの激しいキスを考えると子供騙しのキスだよね。


名残惜しそうに離された私たちの唇同士、白い糸が引いた。



私はその光景に頬だけではなく耳まで赤くなった。


「ふっ」
私の反応を見て、鼻を鳴らし尚貴は笑った。

そう言う意地悪な所は昔と全く変わらない。


唇には尚貴の温もりが残るけど、キスの余韻に浸っていたら、ますます尚貴の思う壺だから自分から身体を離した。



「今すぐにはお前の命令は訊けない…引継ぎとか色々あるからな」


「私だってわかってる・・・」


「辞令を貰ったのに、お前の性急なご期待に添えなくてすまない」


「べ、別にそれはいいから」









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