社長の吐息プラチナの甘美な囁き
私が返事に戸惑っているとお母さんが助け舟を出してくれた。



「…早祐には今…交際している相手がいまして…濱部社長」


濱部社長と栗原さんは互いに驚いて、顔を見合わせた。


「交際相手?そっか~」


「早祐さんもお年頃ですしね…」


尚貴の父親の栗原さんが眼鏡のブリッジを押し上げながら呟いた。


「失礼します…」



仲居さんが襖を開けて、料理を運んで来た。



湯飲みに入ったお茶だけのテーブルに並べられる和食のご膳。



「いつ見ても美しく彩のある膳だな」


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