ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)


「はい。室井です」


電話の向こうから聞こえてきた懐かしすぎる彼女の声。

「もっ、もしもし、あたし……」

「なァんだ、知らない番号からかかってきたから誰かと思ったらナンノちゃんか♪」

今のあたしのココロの状態なんて知るはずもない彼女の声が、ノン気そのものって感じだった。

「む、室井さん……」

「もしもし、ナンノちゃん? どうしたの? なんで泣いてるの?」

「え……?!」

自分では気づかなかったけど、あたしの声、思いっきし涙声になってたみたいだ。

さっきまで涙なんて一滴だって出てこなかったのに、室井さんの声を聞いた瞬間、安心して涙腺が緩んでしまったんだと思う。


それでも、しゃくりあげながら涙声でも一生懸命、長距離電話だけど時間も忘れて、先生に怒られたことを話して聞かせた。

ホントは北条くんとのことも話したかったんだけど、今はうまく説明できない気がして、その部分についてはあえて一切話さないことにした。
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