ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)
さっそく境内に拝観させてもらったあたしたちの目の前に広がったのは“石庭(せきてい)”だった。

竜安寺の石庭は、チョー有名な枯山水(かれさんすい)の名庭。

一面に敷き詰められた白い砂の上に点在している大小15個の石は、大海原に浮かぶ島を表しているのだとも、虎の子渡しだとも言われているけど、作者が不明なせいで真相のほどは誰にも分からない。


ウチの学校の修学旅行では、毎年ココで生徒たちが坐禅を組むのが恒例行事になっている。

男子は正式な坐禅スタイルで“あぐら”をかいて、スカートの女子は正座をして、クラスごとに坐禅をするんだ。



ごぉ~ん……



石庭を前に、黒ずんで、そしてにぶく光って歴史の積み重なりを感じさせる板の間に座布団を敷いて正座をし、目を閉じて、心静かに坐禅の修行に入ったあたし。


「さっすが。俺、秀才の南野が隣の席で、ホントよかったよ♪」


「ありがとな。おかげで助かったよ」

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