ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)


“よしっ、彼が話題に食いついてきたっ。予定どおりっ”


「なんかさ、6巻の……女のコがお父さんの仕事の関係で北海道に引っ越しちゃうかもしれないっていうシーンでさ、結局、別れないのは分かってるんだけど、あたし、あそこで泣きそうになっちゃった」

「俺もあのシーン好き! ……つーか泣いたもん、俺」

「フフッ、そーなんだ♪ 北条くんって意外に純情なんだね♪」

「“意外と”は余計だよ。“意外と”は」

「フフッ」

それ以来、共通の話題ができたあたしたちふたりは、これまでよりもずっと間違いなくココロの距離が縮まったと思う。

“予定どおりっ♪ もーすぐ彼は落ちる♪”



      ×      ×      ×



それから、ちょうど1週間後―――


“プロジェクトL”を第2段階に移行させることにしたあたしは、彼が昼休みにひとりになったところを見計らって駆け寄った。

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