ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)
「しかたありませんよ……」
「長い人生のことを考えてみたら、中学校生活なんて、ほんの“アッ”ちゅうの時間や。そうかて長い人生の中で中学生でいられる時間は、たった一度っきりしか訪れへん」
「そんなの当たり前じゃないですか……」
「そんな二度と訪れへん大切な中学校生活を、毎日、毎日、“イヤや、イヤや”と思いながら過ごすなんか、ホンマもったいないで」
「“もったいない”って……」
「あとになって……オトナになってから“あのとき、こーしとけばよかった”なんて後悔しても、どないもこないもならへんねんで」
「分かってますよ……」
「千賀ちゃんが中学生である以上、“中学”っていう世界からは、どないやっても逃げられへん。ある意味、逃げられへん“運命”ってやつなのかもしれへんな」
「逃げられない運命……」
「せやからここはひとつ覚悟を決めてやな、弱気になって“逃げる”ことよりも、その世界の中で図々しく、あつかましく“生き残る”ことを考えたほうがええと思うねん」
「逃げることよりも……その世界で生き残ることを考える……」
「……なァ~んてな、エラそうなこと言うてるけど、実はボクも前に逃げ出そうとしたことがあったんや♪」