ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)
「じゃあ、なんで……? なんで風間さんは今も東京にいるんですか?」
「さぁ、ソレやがな♪」
風間さんが急に嬉しそうな顔になった。
「ある日、ボクの目の前に天使が舞い降りてきたからや♪」
「て、天使……?」
「白衣の天使や♪」
「ひょっとして看護師さんのことですか?」
「そう、そう♪ 純白の白衣をまとったナースな天使や♪ 昔から“地獄に仏”っていうやろ? そのナースに出会った瞬間、ボクは天国にイッてもうたんや♪」
なんかうっとりしてるっていうか、恍惚(こうこつ)とした表情をしている風間さん。
「ニンゲンなんて単純なもんや♪ 自分の好みの異性がいるだけで、どんな地獄も天国になってまうんやさかい♪」
「ソレ……なんか分かる気がします……」
“あたしもそうだった……”
それまで勉強の合間に少女マンガを読むことはあっても“ガリ勉メガネザル”のあたしには恋愛なんて関係ないとずっと思ってたし、だからこそ北条くんに出会ったとき、あたしの学校生活は薔薇色の天国になったんだ。