ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)
「もう、いいよ……」

「“バカじゃない”っつーか、思いっきしチョーおバカなんだけどな♪ ハハッ♪」

「もう、いいって!!」

痛々しくて聞いていられなかったあたしは、思わず声を荒げてしまった。


“他人(ヒト)の痛みが分かる”

世間でよく使われるフレーズだけど、今のあたしほど彼のココロの痛みが分かるニンゲンはいないと思う。

好きな相手にまごころを踏みにじられる。

そのときに受けた痛みっていうのは、もちろん肉体的な痛みじゃないけど、生きる気力をなくしてしまうという意味では、肉体的な痛みによるダメージ以上のものだと思う。


「あのとき、お前に言われたけど、ヤッパ俺、自惚れてたわ。バスケ部マネージャーとして……ただ単にマネージャーの仕事として、俺の面倒見てくれてただけなのに、そんなオンナのことを好きになっちまうなんてさ……」

「………」

「対抗戦のときのプレイ、もしお前に見られてたら0点どころか、マイナス100点もらってたところだな。フッ」

微笑む彼だったけど、そこに明るさはなく逆に悲壮感すら漂っていた。



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