ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)
そして病室はあたしとアイツのふたりきり。
「まさか南野が、またお見舞いに来てくれるとは思わなかったな」
「う、うん……」
“あたしも最初はお見舞いに来るつもりなかったんだけど……”
「ソレなに?」
彼もトートバッグに気がついたみたい。
「ココに来る前、ブックアウトにマンガを売りに行ったんだけど、あんまり値段が安いんで、とりあえず家に持って帰ろうと思って」
「えっ、なんのマンガ!?」
アイツが目を輝かせた。
“そのマンガ貸してよっ”
……って、その目が訴えていた。
「なんのマンガだと思う?」
あたしはあっさり檸檬白書を貸してあげるより、ちょっとイジワルをしてみたいような気分になった。
「え~、分かんね。ヒントは?」
「えっとねぇ、ヒントその1、高校生の男のコと女のコの恋愛のおハナシです」