ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)
……なんて、わずかに期待した次の瞬間、やっぱり彼はダッシュで逃げた。
でも少し走ると、また止まった。
だけど、あたしが近づくとダッシュ。
ダッシュしては止まり、あたしが近づくとまたダッシュを繰り返す彼。
“ひょっとして、あたし、北条くんに遊ばれてる?!”
そう思いながらも、このまま彼を捕まえられずに、鬼を交替しなければならないことを覚悟しはじめたそのときだった。
近づくあたしから逃げようとした北条くんの足がもつれて、コケてしまうというハプニングが起きた。
“今だっ。今なら北条くんにタッチできるっ”
あたしはダッシュで走る、走る。
コケたとき、体育館の硬い床板で打ったのか、その場に片ヒザを立てた姿勢で、ヒザ小僧をさすっている彼。
“痛かったんだ? でもふざけて、あたしをからかうようなことするから、そーいうことになっちゃうんだよっ。悪いけど、このチャンスは利用させてもらうからねっ”