ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)
それどころか、まだ勝負を捨てていない、自信に満ち溢れたキラキラした笑顔だった。


「おぅ、北条のいうとおりだっ! みんな諦めんなっ!! 元気出しいくぞぉっ!!!」


「オォォーッ!!!!!!」


主将の言葉に応えて、おたけびにも似た気合い入りまくりの声を上げる選手のヒトたち。


ミスったことからくる精神的ダメージで、試合続行が危ぶまれた前髪の長い選手だったけど、北条くんのさっきのひとことで吹っ切れたのか、むしろ、さっきまでより思い切りのいいプレイを連発することになった。

アノ選手にとって、あのとき、北条くんが発した励ましのかけ声が、いったいどれほど嬉しいものだったかということは、運動部員として活躍したことのないあたしには想像すらできないものだっただろう。


やがて試合終了―――


結果はウチの中学が、去年、準々決勝で負けたK中学に接戦の末、辛くも勝利を収め、見事に初戦突破を果たした。

「ワァー!!」

快挙に沸くウチの中学の生徒や、選手の保護者たち。

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