ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)
中には涙を流している女子もいる。

久保さんたちは抱き合って喜んでいる。

あたしも嬉しかった。

さすがに涙は流さないけど、抱き会う相手もいないけど、だけど嬉しい。

母校愛なんて気恥ずかしいものは持ち合わせていないつもりだけど、自分の学校が勝つのはやっぱり無条件に嬉しいもんだ。


その後も中体連は続き、最終的にウチの中学のバスケ部は、地区大会準優勝の成果を収めることができた。



中体連が終わって、また普段どおりの学校生活に戻った日の朝のことだった。


「おぉはぁよぉ……」


……ってガラガラの声で、あたしにあいさつしてきた北条くんには一瞬ビックリさせられたけど、それはある意味“名誉の負傷”というヤツだと思う。

つまりノトが嗄(か)れるまで声をかぎりに応援を続けていたせいで、まるで風をひいたときみたく声がハスキーになっていたんだ。


結局、彼は中体連の間、一度も試合には出られなかった。

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