ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)
「ミスター北条、プリーズ」
そのとき英語の米倉先生が言った。
「あ、はい」
立ち上がる北条くん。
「えっと……ア、ア、I like watermelon」
「Oh~! You like watermelon?」
「Yes! Yes! I like watermelon」
「OK♪ Sit down please」
北条くんは先生に言われて着席すると、あたしのほうを向いて微笑みながらこう言った…、
「ありがとな。おかげで助かったよ」
……って。
「ううん。いいよ、いいよ」
“助かったのはあたしのほうだし♪”
あたし――南野千賀子は小学生の頃から放課後は毎日、塾や習い事のハシゴだった。