ひとり恋 ~マイセルフパラダイス~ (ロングバージョン)
「え……?」
「メガネザルのどこが悪りぃんだよ。メガネザルだと、なんか都合の悪いことでもあんのかよ」
「い、いや別に……」
情けない感じに笑うアイツ。
「なら話は終わりだな? 用が済んだんなら、どっかに行ってくんねぇか? オレら、いま食事中なんでな」
「くっ……」
くやしそうに言ったその言葉を最後にして、アイツの姿は見えなくなってしまった。
これからの夏期講習の間、アイツが再びあたしたちの前に現れることはないと思う。
「ありがとう、北条くん」
本当に嬉しかった。
あとちょっとで涙が出そうなくらいだった。
アイツが目の前に現れた瞬間、すべてがまた過去へと逆戻りしちゃうんじゃないかってスゴク……すごく不安だったから。
まさか北条くんにあんなふうに言ってもらえるなんて、あたしホントに嬉しかったよ。