セックスフレンド
あたしは黙って窓の向こうを眺めていた。

「マナ、おとなしいな」

「風景見るのに夢中になってた」

今更、緊張しているとは言えない。

ドキドキが聞こえしまいそうなくらい音を立てている。

「おとなしくなられたら、オレが困るんだよ」

「困る?」

「2人きりなんだぞ? 何するか分からないよってこと」

そう言って、貴広はあたしの隣に座った。

「あの…えっと…」

言葉が出てこない。

「だから、観覧車無理って言ったんだよ。ましてや会話もないなら、そいう雰囲気にどんどんなっていくよ」

「貴広もあたしがジェットコースター断ったみたいに、拒否し続ければ良かったじゃないの?」

「そうだな。でもマナとならそうなってもいいと思ったんだよ」

貴広があたしの手を握りしめてきた。

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