セックスフレンド
あたしが何も言わないでいると、

「み…瑞希くん…?」

腕を引っ張り歩き出した。

そして、ホテルの前に止まっていた、タクシーに乗せられてしまった。

あたし達は後部座席に並んで座る。

「行き先はどうされます?」

運転手さんに聞かれて、瑞希くんは、あたしの住むアパートから近い駅名を言った。

そしてタクシーは動き始めた。

あたしが窓の向こうを眺めていると、

「その香水、マナっぽくないな」

瑞希くんが言った。

「…そんなことないよ」

今日つけている香水は、貴広が選んでくれた物だった。

そう。つき合うことになったあの日に買ってくれた香水。
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