セックスフレンド
涙がこぼれて、あたしは何も言えなくなってしまった。

瑞希くんは、それでも話すことはやめなかった。


「近所の人が来て、男はバツが悪そうに帰って行ったよ。
そして、母親は近所の人も追い返した。
オレは、また叱られるのかと思うと恐怖心が強かった。でも」

「でも?」

「『凍死すれば良かったのに』──その一言だけだった。
これはオレの憶測だけど、母親はオレを産みたくて産んだわけではなさそうなんだ」

「そんな……」

だから、瑞希くんは、いつ死んでもいい。

そんなふうに思うようになったの?

胸がえぐられたような、そんな感覚に捕らわれた。
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