セックスフレンド
じゃあ、貴広に対して一切の感情はなかったの?

誰かに聞かれたら、あたしはこう答える。

情があるから裏切れないんだと。

矛盾だらけのあたしの心の中。

支離滅裂とは、こいうことを言うんだろうか?


「オレ達、今、両想いなのにな」

「うん。そうだよ。でも……」

「彼氏を裏切れないだろ?」

「……」

「マナは心のどこかでオレを想いながらも、彼氏のことを大事にしてきた。そして愛してる」

無言でコクンと頷いた。


「マナ。幸せになれよ」

「…うん。瑞希くんも幸せになってね」

「泣くなよ」

瑞希くんは、手に持っていたハンカチを奪い、あたしの目に溜まった涙を拭ってくれた。

「じゃあ、帰るから」

「あぁ」




< 266 / 343 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop