セックスフレンド
そして言葉を続けた。

「久しぶりに会う形が、まさか病院でだなんて……」

お母さんは、顔を手で覆って泣き出した。

「生死をさまよってるわけじゃないんだ。瑞希は元気になる」

そう言って、お父さんがお母さんの肩を抱き寄せた。


瑞希くん──。

あなたは孤独をいつも感じていた。

言っていたけど、あなたの為に涙を流している人達がいるよ。

あなたは孤独なんかじゃない。

こんなにも素敵な家族がいるんだよ。

あなたは、幾つもの幸せを手に入れる権利を持っているんだよ。



それから、あたし達は[手術中]のランプが消えるのを待った。

静まり返った病院。

結月ちゃんと葉月ちゃんは、待合室に設置されたソファの上で眠ってしまった。

そして、ようやく[手術中]のランプが消えた。
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