セックスフレンド
あたしは貴広に情があるから別れられない。
ずっとそう思っていた。
でもそれは間違っていたんだ。
あたしの中にある情は、
愛情なんかじゃない。
同情──。
"可哀想"
"傷つけたくない"
そんな思いばかりだ。
この先、気持ちを隠して貴広とつき合っていっても、無意味だ。
貴広に失礼なだけだ。
きちんと貴広と別れてから瑞希くんと会おう。
そんな思いが強く過ぎる。
「瑞希くん、また来るね」
そう言い残して、病室をあとにした。
「マナ、もういいの?」
病室の前で待っていた、ミカちゃんが聞いてくる。
「うん」