365日。
ーパシッ。
今度は頬を殴られる。
前のあたしだったら、もうとっくに泣いてるだろうな。
今泣いてないって事は、少しは成長できたんだよね?
……強くなれたんだよね?
次にみぞおちを殴られ、脚を蹴られ、体中がズキズキと痛む。
でも、泣かない。
何があっても、泣かないって決めたんだ。
凛人を困らせない様に。
「あ〜ら、遠野さん、今日は泣かないのぉ?」
なにその言い方。
まるであたしが、いつでも泣いてるみたいじゃん。
答える代わりに、無言で睨む。
「…っ」
急に、後ろで掴まれていた腕をねじられた。
…いっ……痛い、痛い痛い…………ッッッ
あたしの顔がほんの一瞬だけ歪んだ。
ねじられる力は、どんどん強まっていく。
必死で平気って顔して、睨む。
「こんな事しても泣かないのねぇ♪強いのねぇ、遠野さん」
…あなたに強いなんて認められたくない。
あなた達にこんな事されるために、強くなったわけじゃない。
「あたし達はぁ、アンタの泣き叫ぶ姿を見たいのぉ。だからさぁ、おねがぁい!泣いてぇ?」
そう言ってあたしの胸ぐらを掴むと、力強く机のある方にあたしを突き飛ばす。
ガラガラッと頭上から降ってくる椅子。
あたしは椅子の下敷きになって、そのまま目を閉じた。