365日。
「お前さ……女子に絡まれたら言えよ」
頭の後ろから聞こえる声が、また少し震えている。
「お前、椅子の下敷きになってたんだぞ」
「あ……」
そうだった。
あたし女子に絡まれて、机の方に投げ飛ばされたんだっけ。
だから、この青あざがあったんだ。
よかった。
おっきな怪我じゃなくて。
「大丈夫、凛人。心配しなくていいから」
あたしは凛人の大きな背中をぽんぽん叩く。
「どこが大丈夫だよ…っ!こんな青あざつくりやがって…!」
凛人が抱きしめる力を強くした。
……ねぇ、また、震えてるの?
凛人は青あざないんだから大丈夫でしょ?
あたしはね、強くなるんだよ。
たとえ凛人があたしに話せない様な事があったとしても…
それがどんな事なのか、知らない。
過去にどんな痛みがあったかは、あたしは知らない。