365日。





「…わかってるよ。しちゃいけない事だって。…でもおかしくない⁈なんの罪もない凛人が死んで、最低最悪のあたしが生きてるって!……もう、苦しいの…生きてる事が、苦痛なの……」




こんな時にまで、あたしは声が震える。




ほんとは死ぬ覚悟なんてできてないのに。


こういう時だけ、変に強がり発揮して……




…ほんと、バカみたい。





でも、あたしは死ぬんだ。


自ら、この命を断ち切るんだ。



最期くらい、強いあたしでいたい。





ここで飛び降りれば、もう何もかも終わり。




そしてまた足を浮かせた。





「……自殺ってね、弱い人間がする事なんだよ」



愛ちゃんは、低い声でそう言った。




……なによ…

だから今あたしはこうして、最期くらい強い人間でいようとしてるじゃん。




「…邪魔、しないで……っ」


声が、掠れる…。






「………わかった。わからないんなら、もういいよ。でも最後に言っておく。凛人は、千尋が死ぬ事なんか望んでないよ。千尋の事、少しも恨んでないよ。……それだけ」



愛ちゃんはそう言うと、静かにドアを開けていなくなった。






………だめだ。


やっと泣き止んだのに、そんな事言われたら、また涙出てくるじゃん。






あたしは思いとどまって、教室に戻った。






その日は、愛ちゃんとは帰らなかった。



隣に誰もいない下校は、凄く久しぶりだ。




………また、昔のあたしに逆戻りだ。




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