一緒に歩こう
家を飛び出して市役所にいく間に少しずつ頭が冷えてきた。

祐介だって毎日仕事で疲れてるんだよね。

私だって働いてた頃は仕事疲れでグッタリだった。

ろくに化粧も落とさずに眠ってしまったことが何度あったか。

祐介今大変なんだよね。

今日は祐介の好きなものつくって、仲直りしようかな。

私はデパートで買い物を済ませてからうちに帰った。

「祐介…。」

呼び掛けてみても反応がない。

まだ怒ってるのかな?

「ごめんね…私…」

そこまで言ってやっと異変に気づいた。

布団が小刻みに震えている。

正確に言うなら、中の祐介が。
よく聞けば嗚咽まで聞こえてくる。

「祐介?どうしたの?」

祐介は布団から出てきて私に飛び付いてきた。

「ごめ…ん…ごめ…なさい。」
「祐介?どうしたの?もしかして私が出ていってからずっと泣いてたの?」

「どこにもいかないでくれよ」
「祐介…。」

私は祐介のとなりに座った。

「ごめんね。私祐介の気持ちも考えずに勝手なことばかり言って。心配しないで?私はずっとここにいるから。いつでもあなたの側にいるから。」

その日久しぶりに二人一緒に夕食を食べた。

私たちは過去の思い出話に花を咲かせながら、暖かい笑顔に包まれていた。

祐介の様子がおかしくなったのは、この翌日からだった。
< 5 / 13 >

この作品をシェア

pagetop