危険な彼と危ない初恋

完璧


《桐side 》


「桐ー!今回は田舎で合宿だとよ!
ちょーかったりー」


「で?どこの田舎なんだ?」


「えーと・・・たしか、島だったような・・・・・・」


「ふぅん」


島。


その言葉を聞いただけで忘れたはずの思い出がよみがえってくる。


クソッ!こんなの、俺じゃねぇ!!!!


昔の思い出なんて、思い出したくもねぇ。


考えるだけで吐き気がする。


人間なんて、結局は一番自分が可愛いんだろ?人間なんて、汚れている。


いつからだっただろう。


俺が、心を閉ざして自分の殻を作っていったのは。


俺は、常に自分が傷つかないよう心のガードを作っている。


本気で、人間を相手にし付き合っていくことは惨めだ。そして、人間なんて最後には、絶対的に裏切っていくんだ。


いつからだっただろう。


俺はもう、人を信じることを出来なくなっていた。

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