名無しのノート
顔を上手く動かせない

い、今誰が発した言葉だろう?
かろうじて、首を後ろに向ける。

「またか、…畑中!」

後ろを向いたまま、脳がフリーズ。

嘘、嘘、嘘、さっきまであったのに!
じょ、冗談はよしてよ。


…しかし無情にも、畑中君の机には国語のワークは無かった。

「また、忘れたのかよ」
クラスの皆は、笑い飛ばしている。

違う。畑中君は確かに持ってきていた。でも皆は絶対信じてくれないだろうな。

「俺持ってきたのに……」

私は、目の前が真っ暗になった。
< 12 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop