名無しのノート
瑠璃香さんは動きません。わたしは、廊下に落ちているノートを拾い上げます。

名前は…書かれていません。仕方なく中を除きます。
そこにはこう書かれていました。

6時間目 宮原の古典教科書紛失
放課後 数字の宿題増加


なんなんでしょうか?

宮原さんは同じクラスです。
このノート、なんなんでしょうか?

「里沙さん、そのノート貸して」
「え、あ、はい」

瑠璃香さんはノートを、理科室の窓に立て掛けました。

「行こう」
「えっ」

瑠璃香さんは、わたしの手をとって走りだしました。









その手は、微かに震えていたように感じました。
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