名無しのノート
瑠璃香さんは、それから昼休みの間ずっとだんまりでした。
なにかあったのでしょうか?


5時間目は古典です。
わたしは教科書をまだ持っていないので、瑠璃香さんのをみせてもらうことにしました。
やはり優しいです!

…目は笑っていないのですが。


そのとき、急に誰かが立ち上がりました。宮原さんです。

「先生、こ、古典の教科書、わ、忘れました」
「珍しいな、宮原が忘れ物とは」
「いえ、無くなってしまって、さっきまで、あ、あったんですが」
「まあ、今日はあまり使わないから、いいだろう。次から持ってくるように」

わたしはどこかで、このことを知っています。何故でしょうか?
隣を見ます…と、瑠璃香さんが、固まっています。動きません。

「えっ、大丈夫ですか?」
「ああ、片瀬ならそれ放っておいて大丈夫。片瀬、考えがまとまらないと脳がフリーズするんだって」

そうですか、それにしても………ちょっと怖いです。

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