名無しのノート
「待ってっ!待ってください!」

ーコツコツ、
瑠璃香さんは、止まりました。

「なぜですかっ!なぜ………ですか?」
すると、瑠璃香さんは、こちらに歩み寄って言いました。

「私は………もう…………耐えられない……里沙さん………ごめん…」

わたしの肩に手を置き、瑠璃香さんは………泣いていました。

「ごめん……私は………ごめん…………力になりたいけど…………………これが……それに私は」

瑠璃香さんは、左手に握っていた紙片をわたしの右手に握らせました。

「ごめん…………あー………巻き込んでしまったのに………逃げるって…………さらに……敵だなんて………だから…………無理なんだ」

やがて、瑠璃香さんは、わたしに初めてみせた笑顔で、言ってくれました。

「…………それじゃ…………さよなら」
「瑠璃香さん…」
言わなくてはなりません、言わなくては…………言わなくてはなりませんっ!

「わたしたちは、二日しか一緒ではありませんでした。でも」

その言葉を喉から、本心で瑠璃香さんに届けます。

「…友達になれましたよね?」


「うん、友達だよ」

ーコツコツ

「ありがとうございました!」

瑠璃香さんは、最後、とびきりの笑顔で去っていきました。








こうして、片瀬瑠璃香さんは矢川高校を去りました。
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