Memory
―翌日
HRでテストの結果が廊下に張り出されると聞いたあたしはちょっぴり緊張した。
先生もみんながテストのこと気になってるのが分かってるみたい。
HRをテキトーに終えてどっかに行ってしまった。
「あたしたちも行きましょうか」
「そうだね!」
凜子と菜々に言われて教室を出た
…はいいんだけど。
廊下の人だかりと言ったらもう……。
ふと教室を見返したら誰もいなかった。
いつの間にみんな外に出たわけ?
凜子と菜々は人だかりに向かってダッシュしていて、あたしはポツーン。
いいもんね!
一人で行くもん…。
一人残されたあたしは教室のドアを閉めようとした。
けど、人影が見えた気がしてもう一度教室に入った。
そこには机に覆いかぶさるようにして寝ている人がいた。
あの茶髪は…
「……龍平君?」
あたしが声をかけると龍平君はのそのそと起き上がった。
「…んだ、テメェかよ…」
「失礼ね…あたしには〝ツキミ〝って名前があるんですけど」
「どーでもいーだろ。べつに」
そういうと龍平君はまた寝ようとしたから、あたしは尋ねた。
「結果…見に行かないの?」
「………別にいい」
「どうして?」
「…」
「ねぇ…」
シカト。
諦めたあたしは教室を出ようとした。
その時…
「お前…」
「え?」
後ろから声がして振り返る。
「あれからどーなの」
「な…何が?」
「体調」
彼は真剣な眼差しであたしを見てた。
「あー…あれね、全然大丈夫!」
「ふーん」
それだけ言うとまたうつ伏せになってしまった。
なんでこんなこときいたのかな?
もしかして龍平君…
「心配してくれたの?」
いたずらっぽく笑ってみせると、龍平君はフンと鼻を鳴らして寝息をたてた。