眠れぬ森の美女
月並みの姫様
とあるお城の最上階。

きらびやかな服装のお姫様と、

ぶかぶかのローブを着た賢者がおりました。

「ひめ、どうか」

「無理」

「お願いします!このとーーーり!」

「無理なものは無理!」

「私どもの命運はあなたの双肩にかかっているのですぅぅ」

「どうしたのだ、騒がしい」

「はっ、王様!われわれにどうかお慈悲を~」

賢者は姫のお父様、つまり王様に泣きつきました。

「なんなのだいったい。

この国屈指の賢者であるそちらが、

わたしの娘に手こずっているとは…

もしや、うちの娘はそこまで頭が賢いのか!?」

淡い期待を抱いてみましたが、

「……いえ。残念ながら、月並みです。」

あっさり打ち砕かれました。

嘘のつけない賢者です。

「手こずっているなんてひどいわ。わたしはほんのちょっぴり夜更かしなだけよ」

「いい加減に寝てくださいよう!」

「無理。ぜーんぜん眠くないんだもの。」

「そう言って、いつまで起きてるおつもりですか!」


< 1 / 17 >

この作品をシェア

pagetop