眠れぬ森の美女
ライオネルは、手に持っていた真っ白いシーツを見せました。

「シーツかぶったくらいじゃ、

イマイチ迫力に欠けると思うんですよね。

お化けとして。」

「たしかに。」

「どうやったらこわーいおばけになれるか、

教えていただけませんか?」

姫様のなかで、きもだめし実行委員長の血がさわいできました。

「いいわよ。」





「あ~~~もう、

王様おそいなあ。」

姫様とライオネルの特訓がはじまり、

賢者はあたりを見回していましたが、

王様はいっこうに現れません。

打ち合わせと違います。

「生徒のふりをして、

 姫様に学校気分を味合わせてあげてくださいっていったのに。

 役立たずだなあもう…」

そのときなにかが賢者にむかって降ってきました。

「うわー!」

ぺち、と顔にあたりました。

「あ、ごめん。

こんにゃく飛んじゃった。

ごめんよ。」

「い、いやいや。

だいじょうぶだよ。

こんにゃくだから」

痛いというより、びっくりただけだったので。

「そうかい。ごめんよ。じゃあ!」

「さわやかだなあ。初々しい。

ボクにもあんな時代があったのになー」

「賢ちゃん!みてみて!力作よ!」

賢ちゃんというのは、賢者のことです。

姫様が身分を隠すために、

賢者を「こっちは賢ちゃんといって私の友達」と紹介したのです。

力作のオバケとは……




「な ぁ・・・な あ・・・ま っ て く れ よ・・・

お い て い か な い で く れ よ・・・賢 ち ゃ ~ ん・・・」



プロのようでした。

「ひいいいい!」

「ね、こわいでしょう?」
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