わたしの意味
拾弐
おれは彼女に向かって…

いきなり土下座した。


嘘はたしかにいけない。

でもこいつのメールはぜんぶ本心、
そんなやつだったんだ。

だから、こいつのためにも…

もう一度、大学のことを
ちゃんと考えてあげて欲しいんだ。

もちろん、みおちゃん自身のためにも。

弟もそれを願ってるはず。
お願いしますっ。


彼女はそれには答えず、

しょうの頭に手を伸ばして…
髪をそっと撫でる。

やっとあなたに出会えたんだね。

ひとり言のようにつぶやいた後、

おれに頭を下げて、彼女は出ていった。
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