わたしの意味
いま…

弟はしっかりと彼女の顔を見ている。

彼女もまた…

弟の目を見て笑顔で応えていた。


まるで彼女が母親で弟が息子であるような…

優しいふたりのやり取りを、
おれは横でじっと見つめていた。


しょうさん…

早く冬眠からさめて、
一緒にキャンパスを歩こうね 。

彼女が、小指を差し出した。

弟もゆっくりと手を伸ばして、

彼女の指に小指を絡ませた。


そして…

弟の手がゆっくりと下に落ちていく。

弟はまた、眠りについた。
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