人貸し屋
本章 2

★零 壱

★レイside



「主様!

 買い物に行きたいよー」



昼が人間の姿ですり寄ってくる

私は頭を撫でてあげながら

その腕を避けた



「そうですねー

 たまには外に出るのも

 いいかもしれませんね・・・」



何度も言っている私の呼び方は

いつまで経っても変わることがないので

一旦、言うのをやめにした



「一緒に買い物行ってくれる?」



「一緒に、ですか・・・

 しかし屋敷を開けるのは

 とても心配ですねー」



夜も屋敷に帰らず

どこかで遊んでいるみたいですし



「どうしますかねー」



「大丈夫ですよ主様、

 この屋敷は

 《主様が依頼人を招く時しか

  人間には見えない》ように

 創られていますから!」



早く買い物に行きたいのか

着物の裾を引っ張っている昼



< 46 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop